「その案件、今どうなっていますか?」という質問に、部門長よりも先に、社長自身が即答する。取引先の細かい事情も、現場の進捗も、実は一番詳しいのは社長本人だったりする。
これは、決して珍しいことではありません。むしろ、多くの中堅企業に共通して見られる、ごく自然な状態です。
なぜこうなるのか
会社を立ち上げ、成長させてきた過程では、経営者自身がすべての案件に目を通し、判断を下してきたはずです。取引先との関係も、現場の細かい事情も、社長が一番よく知っている。それは弱点ではなく、むしろ会社の初期からの成長を支えてきた強さそのものです。
問題は、この状態が「悪いこと」なのではなく、会社の規模が変わっても、情報の集まり方が同じままになっているケースがある、という点です。
社員が増え、案件数が増え、拠点や部門が分かれてくると、これまで社長一人が担ってきた"情報のハブ"としての役割が、物理的に追いつかなくなる瞬間が訪れます。
伸びしろを見つけるための、いくつかの問い
ここで大切なのは、「診断」ではなく「振り返り」として、次のような問いを自分に投げかけてみることです。
これらの問いに詰まる部分があったとしても、それは経営の失敗を意味するものではありません。会社がここまで成長してきたからこそ生まれた、次のステージへの伸びしろです。
伸びしろを埋めた会社に共通すること
情報の集中から抜け出せた会社にはいくつかの共通点があります。特別なシステムを導入したというより、まず「情報の置き場所を一つに決めた」というシンプルな一歩から始めていることが多いようです。
案件の状況、進捗、次のアクションーこれらがどこか一箇所を見ればわかる状態を作る。社長の頭の中にあった情報を、少しずつ「誰でも見られる場所」に移していく。この積み重ねが、結果として組織全体の動きを速くしています。
大がかりな仕組みづくりよりも、まずは「今、社長しか知らないことは何か」を書き出してみることから始めても良いかもしれません。
まとめ
情報が社長に集中している状態は、これまでの会社を支えてきた"強さの証"でもありました。
その強さを、これからは組織全体の強さへと広げていくー それが、次のフェーズへの自然な一歩なのだと思います。