この記事の著者であるケイティ・フットは、キャリアを通じてさまざまな職種で経験を積んできました。
自身が働いていたメールマーケティングのベンチャー企業が米Salesforce社(セールスフォース)に買収された際には、ケイティの管轄する各チームは、5億ドル(時価総額約715億円)以上、そして収益では20億ドル(時価総額約2856億円)以上の収益を出すことに貢献しました。
コピーライティングやクリエイティブチームの責任者、そして世界各国で見込み客を営業に受け渡す一連の流れの戦略化に特化したキャリアの中で、常に意識したと語るのは『収益』です。
計上につながるマーケティングに集中し収益に重点を置くことで、役割や権限に関係なくすべてがうまく回るようになり、組織内のすべての人が恩恵を受けることになります。
長年の経験から学んだこととして、優れた企業はビジネスの成功を確実にするために独自のフレームワークの構築にこだわりを持っているとケイティは話します。
パイプラインの生成、つまり案件化から受注に至るまでの管理は、思いつきでは出来ません。
ケイティが5億ドルのパイプラインを管理するにあたって、勤めた企業や果たした役割に関わりなく、必ず3つの重要な要因があることを導き出しました。それは、People(人)、Partnership(パートナーシップ)、そしてProcess(プロセス)です。あるいは「3つのP」ということにします。
今日は、これらの3つのPが何であるか、そして、それらを中心にパイプラインを管理していく効果的な方法について解き明かします。
※ケイティはこのフレームワークをRevGrowth:Better Togetherで発表しており、プレゼンテーション全体をご覧になりたい場合は、ここから確認することができます。
成功に導く3つのP
表面的には、これはとても単純です。
Peopleはチームメンバー全員を指し、
Partnershipsは自らのつながり、
Processは実際の戦略であり、それをどのように実行していくかを意味します。
ここからはその仕組みを紹介します。
PEOPLE
Peopleが重要な理由:
これは基本です。
予算も、リソースも、ビジネスチャンスも、ゴールに向かって一緒に歩むチームがいなければ意味がありません。
やる気の無い社員、あるいはスキルセットが不一致な人が1人でもいると、チーム全体の流れが悪くなってしまいます。
注意点:
- 適切な人材を不適切な部署/役割に配置してしまうこと。
- 面接プロセスに他の部門の人を含めないこと。
- 例として、営業担当者にマーケティング候補者に面接してもらうなど、新しいメンバーが他部門のチームにとっても良い業務パートナーである可能性があることを確認します。
- 無関心。
- すべてのチームメンバーがお互いに見守り、耳を傾け、評価していると感じられる環境があるべきです。
結論:
適切な人材を適切なタイミングで採用することは、ビジネスを前進させる重要な役割を担っています。
最大の問題がメッセージの内容と話を伝える流れにある場合は、コピーライターまたはブランドマーケティングの担当者をチームに入れることを考えるべきです。 単に役割を手持ちの人材で埋めるだけでなく、問題解決に焦点を合わせた人材配置を考えなければいけません。
PARTNERSHIPS:
Partnershipsが重要な理由:
適切な人材を適切な役割に配置することが出来たら、次にパートナーシップを考えます。
プロジェクトパートナーとしてメンバー同士で意識することが習慣化することで、特別な協働環境を作らなくても、チームが日常的に協調するようになるため、重要なパイプラインを推進するきっかけとなります。
注意点:
- ある価値観のもとにすべての人を集めるのではなく、特定の部門との間にパートナーシップを築いてしまうこと。
- 実際の活動中に実践的にチームをまとめることなく、行動してしまうこと。
- それぞれの部署が壁を作ってしまい、一緒に働いていない。
- 他のチームとの協働に適するメンバーを採用しない。 (Peopleで記述の通り)
結論:
パートナーシップは、本来、多くの異なる部門間で成立するものですが、特に、マーケティング業務を遂行することで、組織間の結合が進む機会が生まれます。
Driftでは、マーケティング部門が各部門にサービスを提供することで、間違いなく、営業、製品、顧客獲得、運用の各チームの協働を推進していると思います。
マーケティング部門は、組織全体での広範なパートナーシップを俯瞰し、ビジネス上の課題を理解し、市場や顧客の案件と問題点を統合し、それをすべてまとめて解決することで、社内外で魔法を生み出すことができるのです。
PROCESS
Processが重要な理由:
今まで話してきた2つを確実なものとするためには、統制のとれたプロセスが必須です。そのためには、確固とした市場戦略を立てることが重要です。
Driftでは、以下の4つの主要分野に焦点を当ててこれを実現しています。
- エグゼクティブレベルでの調整
- 明確な内部コミュニケーション
- 顧客フィードバックループ
- 会話フレームワーク
注意点:
- 特定のタスクの標準的な操作手順のみを作成してしまうこと。
- チームメンバーにプロセスの詳細を説明することができない。
- 顧客対応プロセスを無視し、内部プロセスのみに焦点を合わせてしまうこと。
結論:
以上のプロセスを実施することで、組織メンバーの時間の浪費を避け、企業として継続的に前進することが確実になります。
エグゼクティブレベルで働く場合、日常業務レベルの手順ではなく、すべての人が正しいことに集中できるような大きなフレームワークの準備が必要です。
たとえば、Driftは、セールスフォースのV2MOMフレームワークを採用して、ビジョン、価値観、方法、障害、および対策の概要を示しています。 これは会社全体で共有されるため、上から下まで、全員が同じ目標、価値観、戦術に沿って行動します。
私たちが使用するもう1つのフレームワークは、Sell、Tell、またはConsultフレームワークと呼ばれるものです。 私たちは、自分自身に問いかけることで、明確な社内コミュニケーションを維持しています。
これは、誰かにアイデアを売り込もうとしているのか、すでに行われた決定について伝えようとしているのか、それとも誰かに助けを求めているのか、といったことを自問自答することを助けます。
毎週月曜日に3つのP目標を共有する理由
パイプラインを組み立てるうえでのアプローチについて 機会があるたびに繰り返し考えることが重要です。社内のコミュニケーションはそれを議論する絶好の機会です。
私は、毎週月曜日に、マーケティング部門のメンバー全員に、スラックで“Monday Musings”というメッセージを送っています。Monday Musingsとは週の初めにじっくり考えるための時間、といった意味ですが、そのメッセージ内で、その週の3 P目標について記述しています。
これにより、私たちが改善すべきことをチームメンバーに明らかにし、全員の意識を統一することが出来ます。さらに、それは、私たちが行うすべてが重要で、恣意的または無駄なことは一つもないということを伝えています。
強固な理念を持つこともパイプラインに必要です。
私たちが話し合う必要のあるもう1つのPがあります。それは、あなたのPhilosophy、つまりあなたが信じている理念のことです。これは間違いなく必要です。それは顧客の変化するニーズに、ブレずに対応するためにも、あなたの会社のミッションの土台として必要となるものです。
David Cancel(デビッド・キャンセル)とElias Torres(エリアス・トーレス)が2015年にDriftを設立したとき、彼らは1つの基本的な理念を念頭に置きました。それは、「カスタマーエクスペリエンスを決定づけるのは、売り手ではなく買い手である。」ということです。
Driftを設立した2015年に私たちが見ていたビジネス環境は、現在も変わっていないどころか、これまで以上に定着してきています。 B2B取引の売り上げの80%はデジタルチャネルのすべての領域で発生し、購入者の75%が、対面よりもデジタルおよびリモート取引を選ぶと述べています。
B2Bでは、自分たち自身で購買時のチェックを行う購入者が増加しています。今日、購入者が購入を決めるまでの時間は、購入プロセス全体の5%の時間しか費やしていません。
私たちのバイヤーセントリック(買い手を中心に据える)という理念は、私たちが行うすべてのことに適用されています。3つのPを適切に実践するには、会社全体がこの核となる理念に対する深い理解と信念を共有する必要があります。
理念を第一に置くこと。次に、適切な役割に適切な人材を採用し、お互いにパートナーシップを形成するように促し、チームを目標に向けて推進するための勝ちパターンを作り上げます。それが、パイプラインを構築し、推進させる秘訣です。